ルビーよりも透き通り、鮮血よりも生々しく、湖よりも深い。
そんな赤色。
それは惚れ惚れするくらい綺麗なのに。
いざ前にすれば、そのあまりの神々しさに尻込みしてしまう程、気高くて。
なんだか少しだけ、怖くて。
本当は、見てはいけないのかもしれない。
僕なんかが見ては、いけないんだ。
見られても、駄目なんだ。
あの赤い瞳が、僕を映している。
ただ、僕だけを。
まるで血塗れになっているかの様な真っ赤な僕が、見える。
見ている。
見られている。
…違う。
違うよ。
違うんだ。
ねぇ、ユノ。
僕は。
「―――………僕は、違うよ…」
ようやく搾り出した声は、これが本当に自分声なのかと疑いたくなる程か細く、情けない程に弱々しく震えていて………声は、泣いていた。
ただ、彼に見られているだけだというのに…身体を襲うこの異常なまでの緊張感と、寒気は…何なのだろうか。
分からないから、怖い。
怖いから……動けない。
何かが、怖い。
………僕は、何が怖い?
普通に呼吸をするのもままならない。空気を吸っているのに、何故か酸素が足りない様に思えた。口から吐き出す息は、重りをぶら下げているみたいに酷く重かった。
ピシリと張り詰めた、冷たい空気。
自分の乱れた吐息と、やけにうるさく高鳴る鼓動だけが聞こえるだけで、あとは何も無い。
瞬きをするのも、怖い。
限られた視界に映るのは、奥にある古びた玉座と階段。
冷たい大理石の床。
美しい模様が描かれた七色のステンドグラス。
……だが、レトの目は…その中の中央…視界の真ん中に佇む一人の少年しか見ていなかった。
見慣れた姿。綺麗な顔。大きく開かれたつぶらな瞳。
真っ赤な、瞳。
濃い赤が揺らめく、瞳。


