「知識欲が激しいんだろ。ねぇ、ルウナ」
腕に抱えた息子に微笑みかけると、ルウナは笑顔で再び挙手する。
「はーい!!ルナ、知識よきゅ凄いです!!」
「ルウナ様、ルナではなくルウナでしょう。名前を略してはいけませんよ―」
孫を見るかの様に、アレクセイはのほほんと目を細めて言う。
「アレアレ、うるっさい!!」
「アレクセイです、ルウナ様」
そこはすかさず突っ込みを入れた老紳士。ルウナは言えてないだけなのか省略が好きなだけなのか、とにかく名前をよく略す。
「………毎日思うけど……2歳にしては成長速くない?……すぐ立って歩いたし…結構流暢だし…」
「リルリル、うるっさい!!」
「はーい、リルリルですよ―。ルウナ様、ちょっと黙っていて下さい」
確かに。ルウナは2歳の割に成長が速い。
あーとか、うーとか、上手く話せない時期はあっという間に過ぎてしまった。
すぐに両足で立ち、走り出し、ルアを捕まえては乗馬と称して跨がり、キャッキャッと笑いながら城中を回っている。
よく召使の目を盗んでは部屋から脱走し、どうやって移動しているのか謎だが城中に配置している兵士達から一度も目撃される事無く、母であるローアンの所に行くのだ。
その数分後に、息を切らしたアレクセイが迎えに来る。それが習慣だ。
「……王族は成長が速い。何故かは知らないがな…」
頭を撫でると、ルウナは嬉しそうに頬擦りしてきた。
「…………………………………ルウナ様は本に………御両親にそっくりですな…」
「この大胆さと神経の図太さは全然似てないけど」
懐かしい…と目頭を熱くさせる老人に続いて、執務官は余計な事を呟いた。


