「………お前を執務官にしたこと……初めて後悔した…」
「御愁傷様、陛下。……それより、長旅ご苦労様。アレクセイ、ご老体でご苦労様……日射病でポックリ逝って棺桶で帰って来るかと思ってたよ」
「…ダリル…洒落になりませんよ」
アレクセイは深い溜め息を吐いた。
………この老紳士に降り懸かる体力と気力の消耗は、多分、三分の一位はこのダリルが原因だ。
…ローアンは知っている。
この幸薄の老人が、たまに15歳の執務官に泣かされていることを。
御愁傷様、アレクセイ。
「………それはそうと、女王陛下……」
なんかハンカチで目を覆い始めたアレクセイを苛めるのを止め、ダリルはローアンに向き直った。
首から下を全身隠した長い法衣の内から、何やら指先で摘んだ腕を出し、目線の高さでヒラヒラと揺らした。
………目の前で揺れるそれは、長さ三十センチ位の細長い筒。
……その表面には、大きく………。
「………逆さに燃える炎の…焼印。………バリアンからの、返事だよ…」
「………」
差し出された筒を受け取り、紐を解いて蓋を開けた。
逆さにすると、中からクルクルと筒状に巻かれた品の良い書状が出てきた。
「………いつ届いた…」
「………今朝。夜明けと共に、あの燃えている赤い鳥が城の上空にいきなり現れてね。………これを落としてすぐ…移動魔法で消えたよ。………………ルナ様が鳥だ―鳥だ―って騒ぐ騒ぐ…」


