「…………リイザとかいったな、あのガキは。………確かに、あの中では何か卓越していて、纏う空気も王族らしい王族だった。…………良い目をしていた。………だが、しかし………」
「……………しかし………何ですか…?」
いまいちよく分かっていないこの老紳士は、ローアンの後ろ姿に向かって首を傾げる。
前を見据えるローアンは、鋭い眼光を細め………ゾッとする様な、艶のある笑みを浮かべた。
「―――………得体が知れんのだよ…」
長い廊下を進み、螺旋階段がある広間に辿り着いた。
階上では数人の召使いが、忙しなく何度も階段を往復している。
ローアンとアレクセイを見つけるなり、召使い達は一斉に頭を下げてきた。
奥からは、緑の法衣を着た中年の男が二、三人程現れ、恭しく会釈をしてきた。彼等は執務官補佐の者達だ。
「陛下、御無事の帰還、何よりです」
「さぞやお疲れで御座いましょう」
皆口々に労りの言葉を掛けてくれるのを、ローアンは笑みで返した。
「……私がいない間に、何かこう…偉そうで柄の悪い手紙は届いてないか?」
艶のあるセミロングの金髪を無造作に後ろで高く結い上げながら言った。
執務官補佐達は、揃って首を傾げる。
「はて………文の殆どは今……執務官長が目を通されております故……」
「ちょうどいい。……序でに問題の執務官長をここに呼んでくれ。……書状は中々好評だったと伝えなければな。………次からは絶対に私が書く…」
「………呼ぶ必要はありませんよ、陛下。………僕ならここにいます」


