亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


「…剣術稽古用の丸太か案山子を地下に用意しておきましょうか。執務が片付いた後にそれで発散して下さりませ。………数は幾つ用意しますか?」

「三体」

「何か名前を書いた紙を付けておきますか?」

「左から順に、頑固ジジイ、変態、タラシだ」

「ふむ。畏まりました。…………………後で私も使っても良いですかな?」








あまり穏やかではない会話をしながら、二人は先に、開け放たれた城内に入った。





埃一つ無い、細かな装飾が施された廊下。

壁から天井に到るまで、芸術が行き渡っている。






カツカツとブーツを鳴らして、ローアンはなびく金髪を後ろに払った。





「………散々でしたな。……………バリアンとかいう国は」

思い出すだけでも腹が煮えくり返りますよ、と爽やかな笑みで呟くアレクセイ。

「………王族はやはり、絵に描いた様な威張り散らす連中でしたな…。…………何だか臆病な老いた王はともかく………その御子が…」

「………はん……あのタラシとは二度と会いたくないな。………視界に入るだけで、いつの間にか蜂の巣にしてしまっていそうだ。……………………………………しておけば良かったか?」


チッ、と舌打ちをしてローアンは物騒な事をぼやく。

「…………………………唯一まともでしたのが、第2王子であるあの少年。…………………やけにピーピー喚く眼鏡の側近やタラシの御兄様と違って……落ち着いていて、気品が御座いました」


ちょっと口が悪くて無愛想だったが…。






「………唯一?……………それは違うな、アレクセイ…」


ローアンは背後のアレクセイを一瞥し、意味深な笑みを浮かべた。

「………はい?」