亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





巨木が根を張る足元は………本の二年前まで何も無かった赤土の荒野。

草一つ生えていなかった荒れ果てた大地は、今や青々と潤う草原へと育ち………。











………夥しい数の墓石を、背負っていた。













緑の草原いっぱいに所狭しと連なるのは、花が添えられた真っ白な墓石。数百ある、静かな墓。

まだ新しいその白い表面には、それぞれ全く違う名前が刻まれていた。














まるでチェス盤の様に並ぶ墓石の群れを眺めながら、ローアンは微笑を浮かべた。





「―――…ただいま」


………誰に言う訳でも無く、軽く手を振って叫ぶと………中央の樹木がそれに答えるかの様に、生い茂る葉を風になびかせた。


真っ黒な葉が風の向きに逆らって、ヒラリヒラリとローアンの頭上を舞った。











「………こんな所に、獰猛な世界樹として知られているパラサイトが立っているのは、何だか異様ですが………二年も経つと、さすがに見慣れてしまいますな…。………葉が黒いですな…もう少しすれば、花が咲きますぞ」

巨大なパラサイトを見上げながら、アレクセイは言った。

「………今年も花粉症に悩まされなければ良いがな、アレクセイ」

「………そう願います…」


花が咲く度に花粉に悩むアレクセイに、ローアンは苦笑を浮かべた。



丘への坂道を上り、長い階段を進み…………………城を守る巨大な門の前にまで来た。

















―――途端、重々しい門はぎこちない動きで口を開け、城へ続く道をローアン達一行の前に差し出した。











「―――陛下の御帰還である」