亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




















トクン、トクン、という。

父の優しい鼓動。

胸に顔を埋めているから、その音はとても近くに感じられて。


















それが、鳴らなくなって。













同時に、何故か涙も急に引っ込んでしまって。



父の胸に頭を寝かせたまま、何度か瞬きをして。


厚みを増していく、白い大地をぼんやりと見詰めた。

ああ、神様……何故ですか。



何故、僕らを引き離すのですか。









すっかり動かなくなって、すっかり冷たくなった父さんの傍から、僕は、離れたくなくて。


呼んでみたら、また、レトって…父さんが僕を呼んでくれる気がした。

だから僕は、譫言の様に、囁いた。




ねぇ、父さん。

僕の声、聞こえてる?























「父さん」










「父さん」













「父さん」














「父さん」














「父さん」














「父さん」
















「父さん」

































「父さん」










































「―――…お休みなさい」