亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


私に殺されそうになった事を、知っていながら。


この子は、それでも尚………ずっと。



























「………………『父さん』…と…………………呼んで、くれ、るのか………?………………お前…は………」






「………と……父さんはっ………父さん、だもんっ…。………父さんは…僕、のっ……父さんだもんっ…!…僕の…父さんは、父さんだけ………だもんっ………!……ねぇ、父さん……………ぼ…僕………父さんと、母さんの子…だよね………?………父さんって…呼んでも良いでしょう…?………………………父さん…」



















私の胸に顔を埋めて、小さい幼子の様にわんわんと号泣する、息子の声が聞こえる。




ああ、全く。


いつになったら、この泣き虫は無くなるのだろうか。

本当に、誰に似たのだろうか。男の子なのだから。一人前の狩人なのだから。






私の子なのだから。

もう、泣くな。









泣くんじゃない。

泣くな。












…ああ、そうか。





もしかすると、こういうところは…彼女に…アシュに似たのかもしれない。



……やはり、私と彼女の子なのだな。


外見はどちらかといえば彼女に似ているから、大きくなれば、私と違ってさぞや綺麗になるに違いないだろう。


その頃にはもう、泣き虫は治っているだろうか。


今以上に、強くなっているだろうか。





















見たかったな。

見ていきたかったな。



これから先も、ずっと。





ずっと。






この子と共に、歩んでいきたかったな。




もっと、旅がしたかったな。
















もっと。

もっと。












お前、と。

一緒に。