「―――……ケインツェル…」
怒気を含んだ声が、自分を呼んだ。
「………はい……?」
老王は俯き、足元をじっと見詰めながら……低い声で言葉を繋げた。
「―――……フェンネルの小娘に……急ぎ文を送れ…。……………………………デイファレトの王族の捜索を…………許可する…とな……。……………それと………」
―――………。
―――……城を………開けてなる………ものか……。
「―――………デイファレトの忌々しい王族を…………………………………殺せ……!…………小娘が見つけるより先に……………………………始末しろ……!………デイファレトに……兵を送れ…」
………フェンネルには友好的な返事を出す一方………裏で……その関係を、裏切る。
………卑劣な行為。
………神の御告げを無視して……逆に、天に刃を向ける行い。
………愚かだ。そして残酷だ。
………愚かだ、愚かだ、愚かだ、愚かだ…。
……何て、楽しいのだろう………!!
ゾクゾクとした快感を全身に感じながら、ケインツェルは笑みを深めた。
「………貴方様は世界を……神を敵に回すのですね…!!………………素晴らしい!!さすがはバリアン王!!………フフフッ…………ハハ…ハハハハハハ………!!ハハハハハハ…!!」
謁見の間の高い天井に向かって、不気味に笑う。


