亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~














―――ドオォン…




















続けられる筈だった二人の会話は、外界から鳴り響く雷鳴の様な大音響によって、そこで途切れた。
…数秒の間を置いて、全く同じ騒音が再び鼓膜を叩いた。見えない衝撃で、ガタガタと揺れる城内。
天井の古びたシャンデリアが薄暗がりの中でざわめきあい、控えめな甲高い悲鳴を上げている。

十字路だらけの長い廊下を見渡せば、微かだが、漂う空間がぐにゃりと捻れて見えた。



…突然の想定外の事態に呆気にとられて大きく目を見開いていると、地響きを伴った三度目の轟きが、不躾に鳴り響いた。








「―――…何、なの…?」

「………」

足元の揺れに耐えるべく、廊下に一律に並んだ窓の縁に掴まるドールを傍目に、狼狽など縁が無いらしい無表情のノアはそっと…窓の外に視線を移した。