亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



…クスリ、と不意に笑うノアに、少年少女は訝しげな、もしくはしかめた顔で振り返った。

「…は?…心配、ご無用って…?」

「…で、す、か、ら………心配ご無用だと申しているのです。…貴女は、魔の者という生き物を知らない。………………彼等は捨てられようとも、いなくなろうとも、たとえ殺されようとも…」


にんまりと怪しげな笑みを浮かべたまま…この実に風変わりな魔の者は、やけに無邪気なウインクを見せた。













「…新たな王が必要とすれば、現れます。必ずね」

私が言うのですから本当ですとも、と自慢している訳でも無いのに、えっへんと胸を張るノア。
まぁ確かに、中身は何かずれている気はするが、本質的には同じ魔の者のノアが言うのだから、そうなのだろう。


…ドールが納得いかない様子で溜め息を吐いたその直後、廊下と部屋を行ったり来たりしていたユノが、何の前触れも無く現れたかと思うと………佇む三人には脇目も振らず、そのまま傍らを通り過ぎて廊下の奥へと歩んでいった。

相変わらずぼんやりとノアの話を聞いていたレトは、視界の隅から現れ、早足ですぐ脇を過ぎて行く見慣れた姿を見送った後、数秒の間を置いて彼の後をのんびりと追った。


「………ユノ………何処に行くの…?」

「…別に。ちょっと落ち着かないから………大広間とかに行くつもりだよ」

「………うん…………僕も行く…」




背丈だけは一緒で、それ以外の性格だとかの内面は全く違う二人だというのに、何故仲良く出来るのだろうか。

子供って不思議ね…と、遠ざかっていく二人の背中を眺めながら、ドールは目を細めた。









…まだ、11歳だというのに。

王になるべく生まれた王子様は、生まれた時から重過ぎる過酷な運命を背負ってきている。
その重みがどれほど大きくて、どれほど苦痛なのかなど、ドールには知る由も無いが…。