「―――…神声塔から…王が帰ってこられましたよ、顔面蒼白でね。……ショックを受けておられるようだ。………貴方方王子二人には、内容をお教えにならないかもしれません」

「―――………………何が…あったん、だか…………それより、カイ……お前、ノックくらい……したら、どうだい…」

「………私は構いませんよ。………見慣れております故」

…蝋燭一本だけの薄暗がり。

広い部屋の中で、主人がまた知らない女を跨ぎ、ベッドのスプリングをやけにギシギシと鳴り響かせている光景を、カイの緑の目は実につまらなさそうに映していた。


揺れる女の影と、アイラの赤い髪。

口を押さえられている女は声を漏らす事も出来ずに、ただただ生理的な無機質の涙を零していた。

弓なりに反る女の反応を見下ろすアイラは、息も乱さず、無表情だ。


カイは出て行くどころか、傍らの椅子に腰を下ろし、頬杖を突いて我が主の不毛な行為を眺める。

「………アイラ様、世間体というものを考えて下さい。少なくとも……そうやって城中の女を引っ掛けてくるのは、良い事ではありませんよね?………意味があるのですか、それは。………その者の名さえ知らずに…」

「………………名、前…?………ふん………………そんなもの、知った、ところで、何になる……」


……アイラの行為は激しさを増していく。

………カイには全く分からない。
主人のこの行為には、愛情などという熱く、何処か生温いものは皆無だ。

何が楽しいのか。面白いのか。



終始、アイラは無表情だ。機械的な動きで、女の身体をまさぐり、壊していく。



………ここ最近など………特にそう。