亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


…ノア曰く、歴史家達の中では三国共通で最大のミステリーとなっているらしい、『第2次神声戦争』という遥か過去の黒歴史を、このデイファレトの王族は先祖代々から根に持っていたらしい。

その戦争の詳細はレトもドールも知らなかったが、簡潔に述べれば…結果的に勝利を勝ち取ったのは、当時の黄金時代を築いていたフェンネル王18世、だったとか。

この18世とやらは非常に謎の多い王で、ここデイファレトとバリアンの大国二つの二人の王をその手で殺め、三大国を手中におさめたらしい、稀に見るまるで神の様な王だったらしい………のだが。





………それからすぐ、何故か忽然と、行方をくらましたのだという。神隠しの、如く。
同時に、18世の情報は残されたフェンネルの王族によって歴史から掻き消された。
今歴史書に残っているのは、その存在があったという事実だけで、名前は疎か、年齢も性別さえも分かっていないらしい。



とにかく、極めて謎な王。

そんな孤高の王一人に占領された黒歴史が、ノアにフェンネルに対する嫌悪感を抱かせている。


あの国の春という季節は好きなようだが。










「…数々の戦で、常に中立の立場を維持しようとしてきた我が国に比べ……好戦的、ではありませんが…フェンネルも血の気の多い面を持つ、隠れ暴れ馬ですよ。………近年では馬鹿な王様のせいで、自滅への道を辿っていたようですけどね?」

「………ああ………魔の者の大量虐殺は、あまりにも有名ね…」





他国についてはあまり関心が無いが、知識としては頭にあるらしいドール。
本の十数年前までフェンネルで行われていた、狂王による魔の者の虐殺騒動は、内紛中のバリアンにもその非情さが伝わっていた。