亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


ダンテを隠す様に後ろへ追いやり、マナは女を睨む。
澄み切ったスカイブルーの瞳は、この薄暗い空間でもやけに映えて見えた。
















「―――…お前達狩人の主である………『長老』とやらは、何処だ…」













「…軽々と、口にするんじゃねぇよ…」

アオイの中で、敵意の鋭さが増した。



―――『長老』という存在は、狩人の頂点に立つ人間だが、狩人の世界においてその存在は王族の地位にも匹敵する。
つまりこのデイファレトには、昔から二人の王が存在するのだ。
干渉し合わない二人の王は双方の世界に君臨し、上手く共存しながらその国を守ってきた。

いわば『長老』は、裏の世界の王である。




その長老の名を軽々と呼び、しかも異端者の身である人間が面会を目論んでいるなど…。
極めて、遺憾な事だ。

「…何が目的かは知らないけど…願い下げだね…長老の事に関しては、一切他言無用と決まっている…」

「………案内までとは頼まない。…何処にいるかだけ、知りたい…」

…勝手にも程がある。静かに尚も問い詰めてくる彼女に対し、アオイは声を荒げた。

「…聞こえてないのか?………お前に教える事なんて何も…」






























「―――…何の、ためにだ?」


















…不意に、温度差の激しい双方の会話に、その呟きは響き渡った。


その場にいる者全ての視線が、マナの背後に、そこに佇む声の主…ダンテに、注がれた。

妙に落ち着いた息子のこの状況下にはそぐわない言葉に、マナは眉をひそめた。

「ちょっとあんた…何口利いて…!」

「…何のためだって、聞いてるんだ」