やけに響きのいい、そして耳に残る威厳に満ち溢れた声が、今度ははっきりと聞こえたと同時に…漆黒に隠されていたその顔が、表に晒された。
ダンテの目が真っ先に捉えたのは、風に靡くその髪の色と、透き通った瞳で…まるで…。
(………昼と、夜を……持っている…)
あまりお目にかかれない金色に輝く長い髪は、夜空に浮かぶ月明かりに似ていて。
透き通った薄い青の瞳は、昼間の晴れ渡った空の色によく似ていて。
昼と夜。どちらも持っている………そんなことを、ダンテは目の前の人物を見ながら思った。
………声音とその容姿からして、それは女だった。
金髪の、若い女。
綺麗な微笑を浮かべ、髪をなびかせて、ダンテを見詰めている。
こちらを凝視するその眼光があまりにも強く、あまりにも神々しく見えて…ダンテは何故か、それ以上動くことが出来なかった。
「―――…ダンテ!!」
手が、震える。
目を逸らせない。
足が、竦む…。
「ダンテ!!……このっ…異端者が…!!」
怒気を露わにしたアオイの叫びが、ダンテの浮遊していた意識を呼び戻した。
ハッと我に返り、振り返れば、背後から剣を構えたアオイがこちらに向かって走って来たのが見えた。
マナは番えた矢先の標準を、金髪の女に向けている。
積雪を音も無く走り、並の人間の目では追い付けない速さで距離を詰めてきたアオイは、数メートル手前で地を蹴り、跳躍した。
彼の扱う細身だが大振りの剣が、吹雪を浴びながら鈍い光沢を放つ。
あっという間にすぐそこにまで迫ってきたアオイは、大人しく佇んでいる金髪の女に向かって、鋭利な刃を斜め下に振りかざそうとした。


