驚きのあまり大きく目を見開いたダンテの前には、自分よりも背丈の高い、漆黒のマントを羽織った細身の人間が佇んでいた。
ブーツを履いた華奢な二本足で、しっかりと積雪の上に立っている。だが、その後ろ側にはここまで歩いてきた足跡らしき形跡が皆無だ。
やはり、あの黒い靄は人だったのだ。こいつだ…と分かった瞬間、ダンテは正面に立つ人間に改めて敵意を向け、問答無用とばかりに矢を番えていた弦を握る右手を、放した。
「―――お前は狩人か?」
…直後、囁く様なそんな小さな声が聞こえた。被っているフードでくぐもってしまい、少々聞き辛かったが…ダンテの耳はしっかりと捉えていた。
………こいつは…。
「ダンテ!!」
鋭い母の声が自分を呼んだと同時に、目の前の人影が更に一歩こちらに近付いてきた。
放った筈の矢は、目の前の細身の何処にも刺さっていない。
………避けられたのだ。この、至近距離で。
「―――っ…!」
ダンテは咄嗟に空いている方の腕をマントの内に忍ばせ、腰に差した剣の柄を握り締めた。
ダンテは、そのまま抜刀する勢いで真横一文字に目の前の敵の身体を断ち切る……。
…筈、だったのだが。
握り締めた剣の柄の先を、黒の革手袋を嵌めた細い他人の手が……いつの間にか、抑えていた。
…この細枝の様な手の何処に、こんな力があるのだろうか。………懇親の力を込めて必死で剣を抜こうとするが、抑えている相手の力が強すぎてびくともしない。
思わず顔を上げれば、そこには………こちらを覗き込む、黒マントの内に隠れた顔があった。
相手は微笑を浮かべたかと思うと、おもむろにその黒いフードを外した。
「―――狩人かと、聞いているのだがな」
ブーツを履いた華奢な二本足で、しっかりと積雪の上に立っている。だが、その後ろ側にはここまで歩いてきた足跡らしき形跡が皆無だ。
やはり、あの黒い靄は人だったのだ。こいつだ…と分かった瞬間、ダンテは正面に立つ人間に改めて敵意を向け、問答無用とばかりに矢を番えていた弦を握る右手を、放した。
「―――お前は狩人か?」
…直後、囁く様なそんな小さな声が聞こえた。被っているフードでくぐもってしまい、少々聞き辛かったが…ダンテの耳はしっかりと捉えていた。
………こいつは…。
「ダンテ!!」
鋭い母の声が自分を呼んだと同時に、目の前の人影が更に一歩こちらに近付いてきた。
放った筈の矢は、目の前の細身の何処にも刺さっていない。
………避けられたのだ。この、至近距離で。
「―――っ…!」
ダンテは咄嗟に空いている方の腕をマントの内に忍ばせ、腰に差した剣の柄を握り締めた。
ダンテは、そのまま抜刀する勢いで真横一文字に目の前の敵の身体を断ち切る……。
…筈、だったのだが。
握り締めた剣の柄の先を、黒の革手袋を嵌めた細い他人の手が……いつの間にか、抑えていた。
…この細枝の様な手の何処に、こんな力があるのだろうか。………懇親の力を込めて必死で剣を抜こうとするが、抑えている相手の力が強すぎてびくともしない。
思わず顔を上げれば、そこには………こちらを覗き込む、黒マントの内に隠れた顔があった。
相手は微笑を浮かべたかと思うと、おもむろにその黒いフードを外した。
「―――狩人かと、聞いているのだがな」


