亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


泣いている、ではない。………鳴いているのだ。

それは飢えに狂う獣の咆哮そのもので。

………あちこちから聞こえてくる。
四方八方から。
まるで……この雪国の大地が、吠えているかの様に。








(………怖い…)

無意識で、レトの手は腰の剣の束を握り締めていた。
武者震いにも似た震えが、寒気と共に背筋を走る。
………何か、良くない事が起きている。そんな気がする。…こういう狩人の勘は…それはそれはよく当たるのだ。



嫌な予感がする。



このまま、このまま何事も無く夜を迎えたいのに。


















(………神様…神様…。………命の神様………どうか、泣かないで…)