亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



街を出る事が決まると、次の新しい家はどんな家だろうか、少しは住みやすいだろうかとか…下らない考えばかりが浮かんでくる。



………ああ、もう、駄目なのか。

もう、逃げられないのか。







彼の言葉を携えた真っ白な鳥が降り立ったのは、そんな途方に暮れていた、矢先だった。





ああ、彼は…あたしを忘れてなどいなかった。



あたしが、悲しい時。籠の中で外の世界に憧れを抱いている時。

自由を求める時。




泣きたくて、仕方ない時。







彼は、あたしの手を引いてくれる。

彼は、一番望むものをくれる。

彼は、涙を拭ってくれる。





彼は、何者なのだろう。

あたしにとっては、神様みたいな人。
あたしの神様。

あたしを救ってくれる。








一番、好きな。





大好きな人。





大好きな。大好きな。


愛しい。





















「………名前、付けてもらおうね。…絶対…絶対、素敵な名前だから。………………………ザイ…」












光を求めるかの様に、アシュはまだ明るい外を眺める。
愛しい人の名を呟き、愛しい我が子に笑みを向ける。


ただ、夢中で。


それ故に、アシュは。




























聞き耳をたてる部屋の外の存在に、気付かなかった。