亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

あたしのこと、好きじゃなくてもいいから。

嫌いになってもいいから。

だから、だから。







まだ、貴方の傍に。





まだ、貴方と。














まだ。


まだ、まだまだまだまだ。

ずっと。















「………………ザイっ…!」













何処にも、行かないで。


涙を拭おうともせず。ただ彼との距離が悲しくて。切なくて。

ああ…あたし、また我が儘言ってる。
………でも、嫌なものは嫌。



だから。ザイ。





















置いて、行かないで。



















アシュは無意識で、彼に向かって手を伸ばした。
歩み寄ろうとした。
寂しくて、仕方なくて、子供みたいに縋り付こうとした。


アシュの、真っ直ぐな視線の先。
佇む彼は、ザイは、その途端…。


























…静かに、そっと、優しい微笑を浮かべて。





































「―――………私もお前が好きだ、アシュメリア」

























まるで森の吐息の様な、雪を散らした突風が、二人の間を駆けて行った。


思わず目をつむったが、それは一秒足らずと本の一瞬の間で。


次に瞼を開いた時。

























ザイは、いなかった。






微笑を浮かべた彼の姿は、無かった。

何処にも、無かった。























アシュは、泣いた。




彼を想って、泣き続けた。