私は、私を捨てた。
ザイロングという狩人を。
狩人としての私を。
同胞達の白い目が睨む私を。
認められてなどいなかった私を。
全てを背負う事を義務付けられた私を。
あまりにも偉大過ぎるそれを、重荷としか思っていなかった私を。
ひたすら、堪えていた私を。
逃れる様に孤独を追い求めていた私を。
全てに、私に、失望していた私自身を。
私は、捨てた。
捨てろと言われた私は、躊躇いも無く捨てた。
異存は無かった。
そんなもの、私は最初から欲しくもなかった。
要らなかった。
捨てたものは大きかったが、失ったものも、大きかった。
…失ったことを、後悔するだろう。
これから先、私は苛まれるだろう。
……だが私は、捨てたことに対して…後悔など微塵も無い。
………私には、この子がいる。
この子さえいれば、私は他に何も要らない。
彼女が私にくれた、この子だけが………私の生きる意味。生きる理由。
私の、ただ一つの、私の宝物。
レトバルディア。
レト。
私は、お前に謝らないといけないことがある。
レト、レト。
私は。
私は、最低な人間なのだ。
私はお前の、父なのに。
………私は、父と呼ばれる資格など無い。
………ほら、また……。
お前はどうして、直ぐに泣くのだ。
泣くな。