亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



あたし、我が儘な小娘でしょう?
もううんざりだったでしょう。

………最後の我が儘。


最後だから。終わりにするから。

だから、少しだけ聞いてよ。











…ザイ。

























「………あたしの、事………好きじゃ…なく…て…いい。…嫌いになっても…いい。だ…大嫌いでも…いいの。…今、だけ。今だけ。…まだ…まだ……………………………………好きで…いさせて…」


















夢の中で、恋をした。

いつかは覚める夢なのに、恋なんかしてしまった。しかもそれは厄介な事に…初恋だった。

こんなの、初めてだった。あたしなんかでも、恋をするんだ。
嬉しかった。とても嬉しかった。






でも、どうしてそれが夢の中なんだろう。
どうしてそんな、叶わない恋なんかしてしまったのだろう。

なんて、儚い想い。
なんて、不毛な想い。

目が覚めれば…何も無くなるのに。
どうしてあたしの恋は、夢なんだろう。


…ああ、もうすぐ消えてしまう。


…どうせ叶わない、どうせ無くなる想いなら……今だけ。

今だけ………この苦しくて、切ない幸せに浸っていたい。







貴方があたしをどう思っても、構わない。
あたしをどう見ようが構わない。
お願いだから……。


貴方が好きだと、言わせて下さい。

どうしようもないくらい大好きだと、想わせて下さい。

恋を、させて下さい。




今、だけ。













「…………好き……ザイ…大、好き。……………………ずっと………ずっと………好…」





























「―――泣くな」