「―――伏せろ!!」
ザイの声と共に、レトは素早く積雪に伏せた。
その頭上を、細い何かが空を切って通り過ぎ………後ろのザイによって掴まれた。
ザイの手中にあるのは…………細い、研ぎ澄まされた氷の矢。
あの狩人が射た物らしい。
………しかし何故、こちらに攻撃を…。
「…………その矢…………矢羽に何か…絡み付いて……」
………確かに。白い氷の矢には、紐が通された…何か光る物が絡んでいた。
レトの言葉で気付いたザイはその紐を解き…じっと見詰め………。
………顔をしかめた。
「―――…証石だ…」
「………え?」
…証石?ということはあの狩人は……何らかの依頼を受けて…。
ぼんやりとそんな事を考えていた直後、ザイはその光る証石を懐に収め、険悪な表情で小さく舌打ちをした。
………そして…。
「―――………レト、あの端の方で襲われている二人を助けろ。しかし無理はするな。………私はあっちを狩る……」
………と、予想外の台詞を吐いて、驚くレトの前で背中から巨大な剣を抜き出した。
「………父さん?」
「早くしろ…。………あの追われている二人は、この証石の依頼主だ……!」
依頼主だか何だか知らないが………他の狩人の依頼を何故自分達が引き受けなければならないのか。
…どうも釈然としないレト。しかし父はそんなレトを置いて、剣を片手に高い崖をあっという間に滑り降りて行った。
崖淵から谷底を見下ろすと………先程の狩人の全身を飲み込んだ蟲と、物凄い速さでその背後に走り寄るザイ。


