後ろからついて来る彼女は、いつ見ても小さい。
…単に自分の背丈が大きい故に小さく見えるだけなのだが、やはり…小さいと思ってしまう。
まるで子供だ。これで年齢がたったの一つ下というから、ザイは更に驚いていた。
歩く度にサラサラと揺れる青みがかった綺麗な銀髪と、二重の大きな黒真珠の如き瞳。
まだあどけない少女の様な幼さが残った顔は、怒ったり、笑ったかと思えば何故か怒っていたり……コロコロと変わる。
…何故だろうか。自分を含め、人間なんてつまらないものだと思っていたが…天真爛漫な彼女は、見ていて全く飽きない。
…夜、野宿する際、特にする事が無いので、よく彼女をぼんやりと観察している。…面白いから。
気付かれると、罵倒と平手がくる。
地味に痛い。
避けたいが、避けるともっと怒るので大人しく平手を受けておく。
………それに、観察をしていて分かったのだが。
……最近、彼女がよく笑う様になった気がする。
…こんな清潔感の欠片も無い野宿生活で、こんな狩人の男と嫌でも一緒で、彼女の肥えた舌を満足させることなど出来る筈がない粗食ばかりを食べていて。
………何故、笑えるのだろうか。
何が楽しいのか。逆にこういったサバイバルな生活が新鮮で良いのだろうか。
(………分からん。………分からんぞ貴族)
貴族も分からないし、彼女自身もよく分からない。
この間など、お前お前と呼ばずにきちんと名前で呼べ…と言うから、彼女の名を呼べば………………平手打ちがきた。
何故だ。
何故顔が赤い。何故暴力に走る。私が何をした。発音でも間違っていたのか、すまないな。
………分からんぞ、アシュメリアよ。


