何人かこの依頼の内容に立ち止まった狩人もいたが、直ぐにその視線は外されていった。
その額には惹かれるが、依頼内容の難易度が少々高すぎるのだ。
腕のたつ狩人の何人かで組めば、賊の皆殺しは可能かもしれない。…だが、必須条件である令嬢の救出というのが難しい。
いざ賊の元に行っても、既に人質は殺されている場合が多い。
それではただの無駄足だ。
…故に、人質が絡む仕事は皆避ける。
同じく、他の狩人同様にこの大きな金のなる木をただ傍観しながら、アオイは街の出入口である門に寄り掛かり、点された松明の明かりにかじかんだ手を翳していた。
「……………大切な一人娘なら、外に出すなって話だ。………過保護な貴族様の我が儘聞くのはなんか嫌だが………いい仕事…だよな…。…一応」
溜め息を吐けば、濃厚な純白に染まった吐息が漏れ出る。
…今は一応昼間。夜ほどではないが……やはり、寒い。
昼間でも薄暗いこの土地では、目印となる松明が朝から晩まで必要だ。
…あー寒い…と呟き、ぶるりと身体を震わせるアオイ。
出来ればずっとこのまま温まっていたいが………先程から、街の民の白い視線が痛い。
…誰でも出入りは自由な街だが、狩人の出入りはあまりよく思われていないのが現実である。
早く出て行け…と、彼等の目が威嚇している。
言われなくても出て行きますよ…と、胸中で小言をぼやき、アオイは再び溜め息を吐いた。
「………………ザイロングが、いればなぁ…」
…ちまちまと金を稼ぎながら…何となく彼を捜してみようか。


