「―――…何かと思えば…何だ………最近頻繁に出てるものと内容は同じじゃないか」
「…依頼内容は同じだが…見ろよ、あの報酬の額。………桁が違いすぎる…」
「…賊退治にこんな額付けるとは…依頼主は太っ腹なことだ」
「状況が状況だからな。………何でも数日前…街外れでこの依頼主の令嬢の乗った馬車が賊に襲われたらしい。…騒音を聞き付けて直ぐに向かったが…斬られた老人の屍と立ち往生している馬がいただけで、馬車は物気の空。…御令嬢は、行方不明。………数人の足跡と手口から見て、賊に間違いないだとさ」
「また貴族を狙った騒動か………御令嬢とやらは人質としてさらわれたに違いないが、はたして生きてるのやら…。…この依頼主の家、相当な名家だろ?………屋敷に賊の襲撃があるかもしれないって噂されていたよな…」
「より確かな方を実行したんだろ。………完全な賊退治と…御令嬢の救出ねぇ…。………単純に見えて、難しいぜこれは…」
「………どうせ、狩人の仕事なんだ。金欲しさに食いついてくる奴らに任せようぜ。………………汚れ役は御免だ」
日々、何十何百と飛び交う数多くの依頼の中で、人々の意識を集中させるには充分な額が書かれたその依頼が…浮かび上がっていた。
一際目立つ一獲千金の依頼には、誰もが視線を注いだ。
…今までにも報酬の高い依頼は幾つもあったが、それは群を抜いて断トツの依頼だった。
街の民の世間話は、あっという間にその依頼の話で持ち切りである。
…だが、報酬の高さに感嘆の声を漏らすばかりで……それだけである。


