「え、うん。いいよ」

 買い物に付き合うだけならお安いご用。ってかそれってお礼になるのかな?

 考えながら気軽に返事をした。

「マジで? じゃあさ、須田、今ケータイ持ってる?」

「あ、うん」

 あっという間に番号とメアドの交換完了。

 須田 千衣子、十六歳。
 初めての男の子との番号交換しました!

 なんだか胸が高鳴る。

「じゃあ、今日メール……」

 言いかけて止まる長谷川くん。

 その真ん丸に見開かれた目は、
 あたしの頭の上を通り越して、

 背後の校門辺りから聞こえる、黄色いざわめきを見つめていた。

 あたしは、ゆっくりと後ろを振り返る。

 と、そこには――。

「お兄ちゃん!」

 思いがけない人物が立っていたのだった。