「あたしが転んで足挫いちゃって、家に電話しても誰もいなかったから。たまたま偶然そばにいた長谷川くんがわざわざ送ってくれたの!」

『たまたま』とか『わざわざ』を誇張して必死に説明する。

「ふーん」

 でも、全然伝わってる気がしないのは何故?

 その笑顔。怖いって、お兄ちゃん。

「須田、学校の帰りに野球部のファールボールに当たって、ボールは直撃しなかったんですけど、反動で転んだ時の捻挫が酷くて。僕が送るって自分から言い出したんです」