二人乗りの自転車は

 まだ夕方の賑わいをみせている商店街を駆け抜けていく。

 あたしの体重をものともせず、
 軽快にペダルをこいでいく長谷川くんを

 あたしは心から尊敬した。

 男の子ってすごい!


「この辺?」

「うん。次の信号の角を右に曲がって、三件目くらいかな」

「りょーかい」

 軽く倒れながら右に曲がる自転車。

 ん?
 角を曲がってすぐ、
 家の前に人影が見えた。

「あれ? 誰かいるね」

 あの長身

 腕を組んだあの立ち姿。

 え!? お兄ちゃん――!?

 長谷川くんは高いブレーキ音を短く立てて

 その人影の前に自転車を止める。