静かに流れる歌のないBGM。時計の針の進む音がやたらに大きく聞こえる。
 傍らには堅い表情のお兄ちゃん。

「とうとう……この日が来たか――」

 溜め息混じりのその反応にあたしもお兄ちゃんも目を丸くする。
 ゆっくりあたしたちを見ると再び口を開いた。

「秀哉がチィちゃんを、妹以上に想って大切にしてきてくれたこと、気づいてたよ。僕もずっと見てきたからね」

「そうなの!?」

 本人も知らなかったのに!? 意外に敏感なお父さんにびっくり。