どくんどくんと波打って早くなる血流。
 覆い被さるがっしりとした肉体に狙われた獲物さながら身を縮める。

 こわい……。
 でも目を逸らせない。
 どんどん近づく唇が
 首筋に――触れた。

 ピクンと簡単に反応する自分の体に驚く。勝手に荒くなる呼吸。暴れる心拍。

 それが恥ずかしくてどうしたらいいかわからなくなって、あたしは目を閉じて下唇を噛んだ。

「……それ反則。逆にそそるから。自覚、無いんだろうけど」

 ギシッベッドの軋む音と同時に急にのし掛かかっていた重みが軽くなる。

 え――?
 不思議に思って目を開けるとお兄ちゃんはベッドの端に腰掛けていた。

 緊張が一気に解けてなんだか拍子抜けしてしまった。体を起こしてその背中に声をかける。

「い、いいの?」