あたしの答えに安心したように笑って先に教室に入って行く。変わったけど変わらない。その優しさが負傷した胸に染みてた。 信じたい――お兄ちゃんを。 あの夜の言葉あの温もりを。けれど日に日に薄れていくあの日の記憶。家族以上の実感がないまま。早三ヶ月。 正直言って不安で夜になると無性に寂しくなった。 「会いたいよ……お兄ちゃん」 呟きはどこにも届かず消える。 自分で自分を温めるには今年の冬は寒すぎていつか必ず巡ってくる春をとても遠くに感じていた。