息を飲んだまま後退りした。 「お、にぃちゃ……」 トンっと背中に当たるコンクリートの壁。追い詰められたあたしの頭を挟むように両手をつける。――近……い!! 唇があと数ミリでくっつく距離。 「――……ッ!!」 心臓が高速稼働して苦しい。 潤んだ瞳。季節を無視した熱い体温。その端正な顔立ちに改めて心を奪われる。顔に触れる甘い吐息に目眩――。 心も体も魅了され全身が熱くなっていく。あまりの苦しさに薄く唇を開けて詰めてた息を漏らした。