「わからない。仕事で行くわけだから、数年かそれ以上かな……」

 は――!?
 言い様に無い衝撃が体を突き抜けて足元がぐらぐら揺れた。

「嘘……」

 独り言にも似た呟き。

 ゆっくりお兄ちゃんが振り返る。その顔は冗談を言ってるようには見えなかった。

「え? もしかしてチィちゃんは知らなかったのか?」

 お父さんが慌てた様子でおろおろしてる。

「お父さん、千衣子には秀哉から話すって言ってたじゃない」

 たしなめるような声がキッチンから響く。

 お母さんも、知ってたの!?

 どうゆう顔をしたらいいかも分からない。居たたまれなくなって

「あ、あたし。ちょっと出掛けてくるね!」

 泣き笑いみたいな顔でそう言うとあたしは家を飛び出した。