お兄ちゃんがキスが上手いのか、あたしの気持ちが違うからか。初心者にはよくわからないけど。

 駄目。頭がぼーっとする。
 荒く濃く、熱く甘い。
 何がなんだか分からなかった。

 数秒だったのか数分だったのかあたしにはすごく長く感じた。

 ソファーの背もたれに半ば押し倒されて。暴れ狂うあたしの心臓。

「……チィ。その顔ヤバい」

 ゆっくり唇を離して見下ろされる。お兄ちゃんの顔も少し赤く見えた。

 ヘロヘロになっていたあたしからは、何の声も出ない。