耳を押さえたくなる気持ちをぐっと堪える。 「……今は、特にいない。毅叔父さんみたいに、この若さで全てを決める。そんな恋愛をする勇気は無いな」 そう言い切るお兄ちゃんに、ホッとしたと同時に寂しく思うあたしはどうかしてる。 いや、普通会ってすぐに告白したり、結婚決めたりしないでしょ。お父さんが特殊なんだ。お兄ちゃんの言うことはもっともだ。 だけど――。 お兄ちゃんの瞳には誰も映ってなくて、その心には誰も住んでない……。