どうにもこうにも
 隠しきれない一重の腫れまぶた。

「……はぁ〜〜」

 ど、どうしよう……!
 気持ちばかりが焦る。

 お兄ちゃんと会うのに、こんなに見た目を気にしたことはなかった。

 だいたいあたしなんかが多少頑張っても、たかがしれてる。
 あの美形の前では何もかもがくすむから。

 わかってる。
 わかってるんだけど――。

 少しでも……可愛いって、思われたかった。
 
「チィちゃーん、行けるか〜?」

 階下からお父さんの声が聞こえた。

 さっきのはチャイムはお父さんだったのかな?