手のひらの温かさに安心して体の力が抜けた。いつものお兄ちゃんだ。

「大丈夫だよ。お兄ちゃんが助けてくれたから。ありがとう……来てくれて」

 大学忙しそうだし、前会った時の雰囲気もおかしかったから、来てくれないかも。と半分諦めてた。

「少し暇ができたし――そろそろチィの顔も見たかったから」

 不意の甘い言葉に踊る心臓。

「え、あたしの顔?」
 
「チィの暢気な顔みると癒されるんだよね」

 愉快そうに微笑んでるお兄ちゃんに脱力する。

 暢気な顔って……!
 なんだか、がっかりしてしまう。
 
 はぁ。まぁいいか。

 来てくれただけで、嬉しいってのが本音だった。

 あれ?
 ふと疑問が浮かぶ。

「でも……なんでお兄ちゃんあたしがココにいるって分かったの?」
 
 思わず誰もが惚れてしまいそうなこの絶妙なタイミングに。