あたし、この人どっかで会ったっけ!?

 鈍い脳ミソを懸命に動かすけど心当たりがない。

 ただでさえ人見知りで
 動揺してうまく考えることが出来ない。

 気がついた時には野外のステージをの端まで連れて来られてた。

 意外に死角になってるのか人気がない。
 背筋がゾクッとした。

 無遠慮にどんどん近づいてくる男子に、沸き上がる嫌悪感。

「チエコちゃん。可愛いね」

 肩に手を回される。

 鳥肌が立った。
 あたし、やっぱり、この人知らない!

「ぃやっ!」

 確信して突き飛ばすけどビクともしない相手の体。

「なんだよ……いいだろ?」

 あたしの腕を乱暴に掴む。

「痛っ」

 震えながら目を閉じた時、
 耳に届いた聞きなれた声。