ちょうど数人の生徒が出てくる所だった。 邪魔にならないようにこそこそ脇に寄る。 「あれ? あなた……」 まさか話かけられるとは思わず、飛び跳ねるように驚いた。 声の主は、この間お兄ちゃんと一緒に見かけた女の人。 相変わらずの美しさ。 あたしに合わせて、長身の膝を曲げてくれる。 さらりと落ちるロングの髪。 覗き込む色素の薄い瞳。 「どうしたの? もしかしてシュウを探してる?」 シュウ……。 親しい呼び方になぜか痛む胸。