「残念、タイムアップ。もう行かないと、キャプテンに怒られる。返事は急がないから、ゆっくり考えといてくれないかな?」 すこし軽い口調でそう言って立ち上がった。 「えっ」 行っちゃうの!? 見下ろす長谷川くんの、不安げに揺れる大きな瞳。 「待って!」 そう言って、引き止めた。 彼に短く 返事をしながら、 脳裏に浮かんだのは、なぜか ……お兄ちゃんの笑顔だった。