「デート中、なんでしょ? 彼女のとこ戻らなくていいの? 道もわかったしあたしは大丈夫だから」 何とか笑顔らしきものを浮かべて言うと、駅へ向かって身を翻した。 はずなのに、右腕を引かれてバランスを崩す。 うわっ――。 左肩にはお兄ちゃんの手。 見上げると 形のいい顎、高い鼻、長い睫毛。 近っ!! そして目の前の唇が動く。 「駅はあっち」 あたしはまた正反対へ行こうとしてたらしい。