その時 あたしとお兄ちゃんの 視線が、重なった。 一気に立ち上がり、テーブルに膝をぶつける。 豪快な音 派手な揺れに倒れるプレートの上のジュース。 一気に集まる周りの視線。 「――須田!?」 背中に長谷川くんの声を聞きながら、構わず走り出す。 目的もなく、ただ闇雲に。 逃げろ逃げろ! とにかく訳の分からない感情の波やら羞恥心やらに追い付かれないように、 人混みを掻き分け、全速力で。 あたしは、 ひたすらに 走って逃げた。