「じゃあ俺も、おっ始めるかな!!」
 僕の隣で、拓郎がカバンからパソコンを取り出す。ケーブル、三脚、さらにビデオカメラ。
 それらをセットアップし、ビデオカメラを僕の方に向ける。

「拓郎、お前いったい何してんるんだ?」
「何ってお前、お前の勇姿をネットに流すんだよ。
 最悪のウィルスと戦う高校生!!絵になるだろうが?」
 拓郎はそう説明すると、先ほどの阿部先生と同様に高笑いする。

「ってお前、昼間守秘契約したろ?
 違反した時は、違約金1億円って書いてあったぞ」
 僕の忠告に拓郎は全く動じず、お手上げのポーズで首を横に振る。
「馬鹿だなあ。1億円なんか、俺に払えるはずがねえだろ。そん時は、潔く自己破産すりゃあ良いだけだ」

 もう、好きにすれば良い。


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