阿部先生の弱音。
 あと4時間か・・・

「先生、あと1時間で完成させますから、それまで踏ん張って下さい」
 僕は空いているスペースに持参したパソコンを置き、直ぐに作業に取り掛かる。
「いったい、何をしようとしているのですか?」
「チョイスです。いえ、チョイス2とでも言えば良いですか。そいつをシステムに侵入させ、強制的にログアウト状態を選択させます」

 阿部先生は手を止め、呆気に取られた顔で僕を見る。
「た、確かにそれなら可能かも知れませんが、チョイスは伝説の・・・どこにも存在しませんよ?」
「チョイスは、僕が小学3年生の時に遊びで作ったんです」

 僕の話しを聞き、阿部先生は数秒放心した後、珍しく高らかに笑い声を上げる。
「では、もう一踏ん張りしましょうか!!」


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