会議室の扉を開けると、阿部先生が汗だくで画面に向かっていた。
 一人きりだったためか、恥も外聞も無く、焦りまくっている様子が手に取るように分かる。

「あなたたち、戻って来たのですか?」
「はい、戦いに!!」
 僕はニコリと笑う。
 多分、瀬戸さんも拓郎も同じ表情だったに違いない。

「先生、状況はどうですか?」
 僕は阿部先生の傍に歩み寄り、状況を確認する。それが分からなければ、計画の立てようがないからだ。
「思わしくありません。いくらこちらが手を打っても、ウィルスが高性能で一時凌ぎにしかなりません」
 画面を覗き込むと、既にログアウト状態を示す数字は25000を切ろうとしている。

「前田君のお父さんが尽力して、システムエンジニアを増員したようですが、それでも、新ネットワークシステムの構築は24時になるそうです。
 正直、あと4時間も、これを維持する自信がありません」


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