「父さん・・・聞いて欲しい。
 今のままでは、原子力発電所のコントロールを失ってしまうことに、父さんは気付いているはずだ。
 でも、俺なら止められるかも知れない。いや、絶対に止めてみせる!!」

 父は僕の言葉を聞き、力のある目でにらみ付ける。
 僕も負けずに、目に力を込める。
 数秒睨み合った後、父はクルリと僕に背を向ける。

「父さん!!」
「来なさい。カードがなければ、あの部屋には入れない」
 僕たちは父の後を追ってエレベーターに乗り込むと、阿部先生が戦う会議室に向かう。

 エレベーターを降り、カードでキーを解除すると父は僕たちのために扉を開ける。目の前を通り過ぎる僕に、父が視線を合わせないように告げた。
「浩平、今のお前なら必ずできる。頼んだぞ」

 僕は一瞬驚いたが、視線を逸らす父を見てオーナーの話しを思い出す。
 この人は、愛情表現が下手なだけなのだ。

「分かった」


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