最寄り駅から電車に乗り、家路に着く。
 瀬戸さんを空いているシートに座らせ、僕と拓郎は扉前に立ち外を眺める。
 瀬戸さんは焦点が合わない様子で、視線を床に落としている。
 常にハイテンションの拓郎は、口元に笑みもなく外を眺めている。

 誰も口を開かない。
 みんな同じ思いなのかも知れない。
 悔しさ、情けない自分。
 悔しさ、自分に対する悔しさ。
 僕たちは、同じことを考えているのかも知れない。

 やがて、窓の外は見慣れた景色になり、僕たちは学校の最寄り駅で下車した。
 財布は持っていたものの、スマートフォンはカバンの中だ。拓郎も同じ。自宅までは、瀬戸さんが送ってくれると言う。

 まず近くの拓郎が降り、僕は自宅ではなくモモエで下車した。


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