10分後、表示されている数字の減少スピードが、僅かに鈍くなったように感じた。そしてそれは、誰の目から見ても分かるほどに、明らかに遅くなっていった。
「先生!!」
「はい、成功ですね。これで、あと21時間程度は十分に維持できると思います」
阿部先生と瀬戸 麻美、そしてもちらん僕も安堵の表情に変わる。
「あ、ん?あれからどうなった?」
と、今頃になって拓郎が目を覚ます。
今しかない―――僕は思い切って、話し掛けた。
「あの、瀬戸さん」
「何?」
「あ、あの、ブログの件ですが、僕のせいではないということを分かって頂けましたか?
い、いえ、当然パスワードを盗んだことに関しては反省しています。あ、あの・・・」
僕の顔を見ればにらんでいた瀬戸 麻美は、当然のように険しい表情で僕を見詰めている。
やはり、誤解が解けたとしても、パスワードを盗んだことは許してもらえないのだろうか。
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