学校を出発して約1時間、周囲は高層ビルで埋め尽くされ、都内に入ったことを実感する。
 ついでに、と思いサインを頼んだ僕は右ストレートを食らい、後部座席で小さくなっていた。

「そろそろ、目的地に到着しますよ」
 阿部先生が左にウィンカーを出して交差点を曲がり、前方のビルを指差す。太陽の光を反射するガラス張りのビルは、眩しくて直視できない。

 ジープをビルの来客用の駐車場に停めるとエンジンを切り、阿部先生が振り返る。
「さあ、行きましょう」
 ビルの正面玄関に移動し、掲げられている銀色のプレートを見ると、株式会社ネオ・アースと書いてある。
 阿部先生は自動ドアを通り抜けると、受付に向かい、女性と言葉を交わした。

 いったいこの会社は・・・
 いや、そもそも古典の先生が、なぜこんな所に出張するんだろう。


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