5時間が目開始されるチャイムと同時に、ジープは校門から飛び出す。
「それで、結局、僕たちはどこに向かっているんですか?」
「そうですね、ここから1時間くらいかかる場所です」
僕の問い掛けに、阿部先生がバンドルを切りながら答える。意外に、運転が荒い。
「東京、ですね?」
僕を威圧して以来、初めて瀬戸 麻美が口を開く。
その声に、僕はアリサに浄化される魔物のように怯える。でも、もう反射的に恐怖するる必要はないはずだ。
「そうです。まだまだ時間がかかりますし、DVDでも観ていて下さい」
そう言って、阿部先生はカーナビゲーションを操作し、DVDの映像に切り替える。って、これって、ガブリエル・アリサの最新映画―――
「それと、すいませんが、これにサインして下さい。一番上に、阿部 寛一さんへとお願いします」
先生、気付いていたのか・・・
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